体験談
・体験者 武田真由子
・国 メキシコ
・場所 IXTAPA
・期間 2004年8月5日〜26日の3週間
・ワーク 子どものための公園や小学校の整備・修復作業
・参加者 日本、イタリア、スペイン、フランス、ベルギー、メキシコより11人、
・IXTAPAではその他に英語教育、海亀の保護のプログラムも同時に開催しており、他のグループとの交流もあり。
3週間のボランティア生活を過ごしたixtapaという小さな村を思い出すと思わず顔がほころぶ。もう一度戻りたいな、と思う。底抜けに青い空に灼けつくような日差し、ピンクや黄色のカラフルな家、どこからともなく聞こえてくる大音量のラテン音楽、どれも大好きだったがなにより魅力的だったのが「人」だった。
私たちの仕事は村の小学校や公園の修復作業だった。作業を始めた当初、貧富の差の激しいメキシコの現状を目にし高い飛行機代を出してやって来てペンキ塗りをする私達のことを現地の人達は実際どう思っているのだろうと感じることがあった。現地の職員は海外からのボランティアが自分達の村の為に働いてくれる姿は住民の啓発につながると言っていたものの、頭のどこかにもやもやは残っていた。
ある日、40度近い炎天下のもと公園で作業していると、小さな女の子が赤いジュースのはいったビニール袋を手に近寄って来た。服は汚れていて穴があいていた。一生懸命何かを言いながらスペイン語がわからずとまどう私の手にジュースを握らせようとする。そばのベンチには母親らしき女性の姿があった。過去の経験から物売りの子どもかと思った。しかしスペイン語のできるメンバーに訳してもらうと「暑い中ご苦労様。これでも飲んでちょっと休みましょうよ」とのことだった。自分を恥ずかしく思った。それ以来女の子は毎日のように公園にやって来て、私の姿を見つけると満面の笑みで走りよってきてくれた。他にも多くの子供達が公園に遊びに来ては、一緒に折り紙やお絵描き、鬼ごっこ、色んな遊びをした。日本の話を目をキラキラさせながら聞いてくれた。地元の人々が私達のためにメキシコ料理を作り小学校でパーティを開いてくれた。町を歩いていると「hola!」と声をかけてくるおじさんや、玉ネギを山盛り入れてくれるタコス屋の気のいいおばちゃん、どこにいっても笑顔があった。もはやもやもやはなかった。貧富の差というフィルターを勝手に持ち込んでいたのは私であり、現地の人はあくまで一対一の人として受け入れてくれているのだと感じた。
また、各国から集まった最高の仲間達にも出会えた。皆優しい心を持った個性豊かな人達だった。3週間一つ屋根の下、共に働き、料理を作り、歌い踊り、時に語り明かした。最後の夜、皆が「皆に出会えてほんとうによかった」と言い合い、海岸に座り皆で見た満月は本当に美しかった。
メキシコでは人と楽しく過ごすことや笑い合うこと、そうしたシンプルなことの大切さや素晴らしさを改めて感じた。帰国後は以前より人とのつながりに感謝するようになった。行ってよかった、皆に会えてよかったと心の底から思う。 |