米国国務長官
ヒラリー・クリントンさんへの手紙
米国国務長官
ヒラリー・クリントン様
力の支配によるリーダーシップに終止符を!
世界中の全ての人々が平和で安心して生きられる社会を!
この度あなたが国務大臣として選ばれたことを私たち日本の女性は心からうれしく思っております。また、最初に日本への訪問を実現されたことに対して、大変光栄に思っております。
私たちは女性に対する暴力、および戦時下あるいは紛争下で市民とくに女性に対する性暴力が繰り返されてきたこと、また現在も世界のいたるところでこの悲劇が起こされていることに反対し続けてきた女性の団体として、あなたの働きに大きな期待を寄せています。
日本は第二次世界大戦中、世界史上かってないといわれる性奴隷制をアジア諸国において組織的に作り、10カ国の女性たちを日本軍人による性虐待の犠牲としました。また軍が侵略した各国において家族や地域の人々の目前で殺戮と悲惨な性暴力をくりかえしたことは、すでに多くの証言や資料で明らかになっています。
しかしながら、戦後60年を過ぎた今もなお、日本政府は被害者の要望に応えることなく謝罪も補償もしていません。一昨年、貴国家の下院議会をはじめ、カナダ、オランダ、EU議会において日本政府に対して「謝罪決議」がなされました。すでに国際関係機関や、国連などを含め10回以上の勧告も出されていますが、いまだに日本政府は無視しています。
私たち日本人女性を含む市民は、戦時性暴力ばかりでなく、半世紀以上も精神障害を引きずり続けたうえ、社会の偏見の中で生き、さらに日本国から正式な謝罪もなく人間としての名誉回復もされずにいる被害女性と共に、日本国に責任を果たすように求めてきました。
このような運動を続けてきた私たちとしては、現在においてもなお様々な地域で軍人による性暴力が行われていることに深い痛みを感じております。とくに1945年の敗戦以後、米国と日本政府の間での密約で米軍に沖縄が提供され、以後米軍の75%が沖縄に常駐しているために、住民への犯罪が繰り返され、特に昨年などは米軍によるレイプなどの凶悪犯罪が70件もあり、過去10年で最多と報道されています。
日本国憲法第9条には「国際紛争を解決する手段として武力を用いず、また武力も作らない」と明確に約束しています。しかし日本政府は自衛隊を作りました。その上かつてアジアに対して行った侵略を「アジアの解放に寄与した」などとして、再び世界第3位という巨額な資金を軍事費に注ぎ込み、国民に様々な言い訳をしながら外国に進出しようとしています。これは米国との軍事協定が大きな影響を及ぼしているためと考えます。
とくに残念なことは、日本が軍事的にアジアの要として米国によって評価され、基地化されていることです。そのため沖縄で起こった10歳(2005年)の少女へのレイプ事件をはじめ、岩国、横須賀でも同様の問題が起こっております。軍人は敵を殺すことが目的で存在するので、このような問題は避けることができないでしょう。この事実に目をつぶるような政府を選択した私たち日本人にも当然責任があることは言うまでもありません。
しかし、米国もこれ以上他国への「自由を守る」という理由による軍の派遣はもはややめるべき時が来ていると私たちは考えます。オバマ大統領の就任により、米国が経済問題の改善や貧困問題の解決において具体的な成果を示し、同時に国連での積極的なかかわりにより話し合いを進め、すべての国々あるいは人々が等しく人間として安心して生きられる社会にするための努力をしてくださることを私たちは期待しているのです。アフガニスタンへの介入など、力の支配によるリーダーシップは、オバマ政権の実現において終止符を打ってほしいと心から願っております。
今回日本の首相とともに、いかにして軍隊をなくし平和な世界を作ることができるかに焦点を置いて協議をしてくださるように、軍事協定による日米一体化は避けるように、あなたのリーダーシップを私たちは強く期待しております。
2009年2月16日
「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク
(VAWW−NETジャパン)