中山文科大臣発言に抗議し、
即刻、文科大臣を辞任(解任)することを求めます!
内閣総理大臣 小泉純一郎様
文部科学大臣 中山成彬様
去る6月11日、中山文科大臣は静岡市で行われた教育改革タウンミーティングで「そもそも『従軍慰安婦』という言葉は、その当時なかった。間違ったことが教科書に載った。それが無くなってよかったと評価した」と発言し、13日の記者会見では「そういう仕事というか、そういうところに身を貶めなければならなかった方々がいたことは、本当に大変だったろうが、これは日本の女性がほとんどだった」と述べました。私たちはこの発言を許すことはできません。この発言には重大な問題があります。
まず第一に、言葉を否定することにより事実と認識を否定するという姿勢です。細田官房長官が述べているように、すでに日本政府は日本軍の関与と「慰安婦」の強制性を認め、その上で「謝罪と反省」を表明し、なおかつ「このような歴史の事実を回避することなく直視していく」「歴史研究、歴史教育を通じてこのような問題を永く記憶にとどめていく」と、公的に表明(河野洋平内閣官房長官談話93年8月4日)しています。教科書に記述されてきた「慰安婦」問題は「間違ったこと」ではなく、閣僚が日本政府の認識を否定しているのです。
第二に、この官房長官談話は日本政府の「慰安婦」問題に対する公約であり、被害者に対する誓いです。これが現在の日本政府の見解であることは、小泉首相自らバンドン会議や国会答弁などで明らかにしています。それにも関わらず小泉首相は中山文科大臣発言について「問題にならない」(6.13記者会見)と述べました。韓国や中国など隣国から日本の歴史認識に対して抗議が激化し、重大な事態に直面している今、中山文科相の誤った歴史認識を正さず、その問題発言の責任を問わずに野放しにしている姿勢は、日本の政治リーダーとしては失格です。こうした日本政府のダブルスタンダードが、盧武鉉大統領に「侵略と加害の過去を栄光と考える人たちと生きるのは、全世界にとって大きな不幸だ」と言わしめ、胡錦涛国家主席に「言葉ではなく実行を」と言わしめたのです。
第三に、このような歴史認識が欠如した閣僚の暴言が相次ぐのは、「慰安婦」問題に対する調査が不十分であること、また十数年来、国連人権委員会やILO専門家委員会、女性差別撤廃委員会など国際社会が日本政府に対して適切な措置を取るよう繰り返し勧告してきたにも関わらず日本政府が無視を続けてきたからです。真実と責任に真摯に向き合わない「心からの反省」とは一体、何なのでしょうか。
「慰安婦」問題が戦後補償問題として浮上してから15年の歳月が流れます。この間、被害女性たちは何度も何度も日本に来て自分が受けた体験を語り、真の反省と謝罪を求めてきました。女性たちは戦後も重いPTSDに苦しみ、「生きているうちに尊厳を回復したい」と訴え続けてきました。中山大臣発言などが繰り返されることにより、被害者は更に傷を深め、苦しみを増大しているのです。加害は今も繰り返されているのです。
小泉首相、中山文科大臣、あなたたちは一度でも被害者の声に耳を傾けたことがありますか?一度でもその加害に心を痛めたことがありますか? 女性たちが受けた被害に目をつむり加害責任から逃げ続ける姿勢が、国際社会の信頼と信用を得ることであると考えているのでしょうか。
教科書に「慰安婦」問題を記述して後世にこの問題を教えていくことは、日本の過去に対する責任であり、「反省」が真実であることの証です。歴史を歪曲する「つくる会」の教科書(扶桑社)が検定を通過したことで、これほど隣国との関係が悪化している状況は、歴史認識を正しく持つことがアジアの国々と信頼ある関係を構築し、東北アジアの平和と安定の基盤であることを指し示しています。
小泉首相、中山文科大臣、被害者の痛みと叫びに耳を傾けてください!歴史の事実を直視してください!
私たちは、以下について即刻実現されるよう、強く求めます。
1、 中山成彬文科相は発言が誤っていたことを認め、直ちに辞任すること。
2、 小泉首相は閣僚・政治家の暴言に対して毅然とした態度を示し、その発言を正し、中山大臣の解任を即刻行い、暴言を野放しにしてきた自らの責任を明らかにすること。
3、 小泉首相は93年官房長官談話を政治姿勢に反映させ、二度とこのような暴言が繰り返されないよう明確な姿勢を打ち出すこと。
4、 国連勧告などに耳を傾け、「慰安婦」問題解決のため、早急に「慰安婦」立法など具体的な措置を講じること。
2005年6月17日
「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク(VAWW-NETジャパン)
アジア女性資料センター