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「慰安婦」問題の解決に関する公開質問状

小泉純一郎内閣総理大臣宛



 7月21日、22日、韓国の済州島で日韓首脳会談が開かれました。小泉首相はそこで、日本人拉致問題の解決に韓国政府が協力することを要請されましたが、その日、韓国の「慰安婦」被害者たちが、過去に日本がもたらした被害の回復を求めて「一日も早く日本政府による謝罪・補償を実現してほしい」と声を上げたことをご存知でしょうか?

 日本人は、北朝鮮による日本人拉致問題の事実を知り、被害者とその家族の長年の苦しみに心を痛め、一日も早く原状回復がなされることを強く願っています。小泉首相が解決のために奔走されているのも同じ思いからでしょう。しかし、日本人拉致被害者とその家族の心の痛みと苦しみを知ったあなたが、なぜ、かつて日本がもたらした拉致被害者に対しては誠実な解決に向き合おうとしないのでしょうか。

 小泉首相、あなたは、日本軍「慰安婦」制度の下で人間の尊厳に対して甚大な損害を与えた「慰安婦」被害者に対して、国民基金の事業の下の「償い金」支給が被害者に拒絶されていることを知りながらもそれを推し進め、ついには2002年5月の韓国・台湾への「償い金」支給の終了をもって「慰安婦」問題はあたかも終わったかのような姿勢を続けています。しかし被害女性たちにとって問題は何一つ解決していません。被害から60年以上が経過した今、高齢になった被害者たちに残された時間は僅かです。「生きているうちに正義を!」と訴えてきた被害者たちが残された命をかけて訴えているのは、日本政府による心からの反省の言葉、真実の謝罪です。

2002年9月の日朝首脳会談で発表されたピョンヤン宣言で、あなたは日本国を代表して「過去の植民地支配によって、朝鮮の人々に多大の損害と苦痛を与えたという歴史の事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明」しました。また、国民基金では被害者に宛てた「総理の手紙」のなかで、「私は、日本国の内閣総理大臣として改めて、いわゆる従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われた全ての方々に対し、心からお詫びと反省の気持ちを申し上げます」「・・お詫びと反省の気持ちを踏まえ、過去の歴史を直視し・・」と述べています。しかし、被害者にとってその言葉は口先だけの空しい紙の上の文字に過ぎません。被害者には、謝罪とは受け止められていないのです。被害者の心に、その言葉は届いていないのです。なぜなら、被害者たちが求めているのは日本政府の「真実」の言葉であり、それを証明する具体的な対応(謝罪・補償・真相究明・教育・歴史認識など)なのです。

 韓国では、1992年1月の宮沢首相(当時)の訪韓以来、毎週欠かさず水曜日にソウルの日本大使館前に集まり、日本政府の誠実な謝罪と補償を求めて集会(水曜デモ)を開いてきました。今年の3月17日、水曜デモは600回を迎えました。零下10数度の雪の舞う寒い日も、かんかん照りの暑い日も、被害女性たちは老いた体でそこに立ち、声を上げ続けてきました。この日、日本でも東京、福岡、大阪、札幌、広島などの各地で水曜デモに連帯する集会が開かれ、東京集会に集まった市民は小泉首相に一国も早く誠実な対応をするよう請願書を提出し、返事を求めましたが、今もって何の音沙汰もありません。

自国の被害には強い態度で臨み、自国の加害についてはその被害者の声に耳を傾けようともしない、このような国が、なぜ、イラクに「人道支援だ」などといえるのでしょうか。なぜ、北朝鮮のみを非難することができるのでしょうか。


私たちは以下について、強く要求します。

1、 一刻も早く「慰安婦」被害者たちに心からの言葉をもって謝罪し、反省の証として国家による補償を実現するよう、早急に具体的な施策を打ち出すこと。

2、 「慰安婦」問題の真相究明に積極的に取り組むこと。

3、 「慰安婦」問題を歪曲せず、国民が正しい認識をもつことができるよう、首相自らが公的発言の場において積極的に教育・啓蒙活動を行うこと。

4、 上記について、首相自らの言葉で自らの考えを回答すること。


 私たちは過去の過ちを直視せず、戦争国家に突き進む日本に、言い尽くせぬ不安と危機感を抱いています。「過去の克服」とは過去を学ぶこと、過去を反省し、過去の過ちに対して国家が明確な形で責任を果たすことです。そうした過去に向き合う姿勢が、同じ過ちを繰り返さない日本の未来を保障すると、私たちは確信しています。

小泉首相の返事を、お待ちしています。




2004年7月27日

「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク(VAWW-NETジャパン) 

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