2007年10月3日
対ビルマODAに関する共同声明 燃料費の大幅引き上げへの抗議から、ビルマ各地に広がった反軍政デモに対して
治安部隊が発砲し、数百人とみられる僧侶・市民が殺され、日本人カメラマンの
長井健司さんも犠牲になった。また、3000人もの僧侶が軍政に拘束された。
このような規模の抗議行動があったのは1988年以来のことだ。同年にも軍政
は国軍部隊を大量に動員してデモ隊への水平射撃・無差別発砲を繰り返し、数千
人が死亡したとされる。
軍政を支えてきた日本
1988年の民主化運動弾圧を受け、日本政府は円借款を凍結し、無償資金協力
についてもビルマの国内情勢に応じて慎重に判断することになった。首相ほか政
府高官の最近の発言を見ても、日本政府は円借款は行わず、無償資金協力も人道
援助のみ行っているようにとれる。実態はどうか。日本は少なくとも2004年
まではビルマへの最大の援助国だった。中央乾燥地帯での植林事業など人道援助
ではない無償資金協力や、技術協力も多数行っている上、下記に述べるとおり円
借款まで行っている。
内戦地域の発電所に無償資金協力 円借款も
2002年にはバルーチャウン第2水力発電所の改修工事のため無償資金援助
(約6億円)を提供することについて軍政と書簡交換を結んだ。同発電所付近に
は現在もビルマ軍が展開し、住民に強制労働をさせている。また周辺にはビルマ
軍により地雷が設置され、現在も毎月のように周辺住民や家畜が踏んで負傷して
いる。1998年に日本はヤンゴン国際空港拡張計画のために円借款(約25億
円)を出した。88年以降凍結されていたのは「新規案件」のみで、同計画は
88年以前に承認されていた「既往案件」であるため凍結の対象ではなかった、
というのが日本政府の主張だった。このような「既往案件」はほかにも数件、
残っている。
このように関与政策を建前として軍政に対して多額のODAを供与してきた日
本政府は、現在ビルマで1988年の悲劇が繰り返され、多数の市民が犠牲と
なった事態を重く受け止めるべきだ。
私たちは以下を日本政府に対して求める。
・軍政がアウンサンスーチー氏と全ての政治囚を釈放し、民主化勢力との実質的対話を開始するまで、軍事政権に対してODAを行うべきではない。 ・人道援助に関しては、必要性を見極め、透明性を確保したうえで、国際機関・NGOなどを通した援助に限るべきである。 ・ODA大綱II(4)の原則をふまえ、今後ビルマへの援助を行う際には明確な基準を打ち出し、「民主化の促進」を真に支えるような支援をしていくべきである。また、国内外の識者やNGO、民主化のために活動しているビルマ人からの意見を聞き、「民主化の促進」を支援する援助を構築していくべきである。 【呼びかけ団体】
ビルマ市民フォーラム
【賛同団体】
(10月15日11時現在56団体、50音順)アーユス仏教国際協力ネットワークアクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」アジア女性資料センターアジア人権基金アジア太平洋資料センターアジア連帯講座アムネスティ・インターナショナル日本インドネシア民主化支援ネットワークODA改革ネットワーク化学物質問題市民研究会カトリックさいたま教区正義と平和協議会かつしか人権ネット「環境・持続社会」研究センター関西NGO協議会関西フィリピン人権情報アクションセンターキリスト友会日本年会社会平和委員会北多摩政治文化研究会草の根援助運動国際環境NGO FoE JAPAN
国民民主連盟(NLD)解放地域日本支部コトパンジャン・ダム被害者住民を支援する会「婚外子」差別に謝罪と賠償を求める裁判を支援する会市民の意見30の会・東京ジュビリー関西ネットワークジュマ・ネット食政策センター ビジョン21すべての外国人労働者とその家族の人権を守る関西ネットワーク黙っちゃらんない・神奈川市民の会地の人・宗教対話センター中国民主団結聯盟日本分部ティナラク織の会「カフティ」途上国の債務と貧困ネットワークナガ・ピース・ネットワーク名古屋NGOセンター西日本入管センターを考える会日本カトリック正義と平和協議会日本キリスト教団日本国際ボランティアセンター日本山妙法寺日本バプテスト同盟 京都バプテスト教会日本ビルマ救援センター日本ビルマ問題を考える会熱帯林行動ネットワーク名古屋ヒューマンライツ・ナウビルマ僧侶の平和的民主化運動を支持する会2007フィリピン情報センター・ナゴヤフェアトレード バーマ・リンフォーラム平和・人権・環境平和を実現するキリスト者ネットマハリカ ミッション宮崎国際ボランティアセンターメコン・ウォッチ横浜アクションリサーチセンターラフィック 在日難民との共生ネットワークRAWAと連帯する会労働組合ネットワークユニオン東京
" Now let me say a few words on
Japan's aid, or the lack thereof, to
Myanmar...We have extended to the country no loan assistance since
1987..."
(仮訳:これから日本のミャンマーに対する援助の状況、といっても援助は行っ
ていないわけですが、このことについて申し上げたいと思います。・・・
1987年以来、借款は一切行っておりません。)
(谷口外務副報道官、10月2日の記者会見で)
「日本からミャンマーへの援助は人道的なものが多く」
(福田首相、9月28日に記者からの質問に答え)
「
円借款は出していないが、無償資金協力を通じた人道援助は確かにあります」
(町村官房長官、9月28日、記者からの質問に答え)
「人道分野に限った、限られた経済協力しかやってこなかったんですね。ここ
最近はね」
(町村官房長官、9月26日、記者からの質問に答え)
バルーチャウン第2水力発電所について
問題点、資料など(特定非営利活動法人メコン・ウォッチ)
ODA大綱II.援助実施の原則
(4) 開発途上国における民主化の促進、市場経済導入の努力並びに基本的人権及び自由の保障状況に十分注意を払う。
別紙資料:〈図解〉ビルマと日本の関係
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