外務大臣 町村信孝様
2007年8月30日
                 要請書

 在日ビルマ人27団体で暫定的に設立された「在日ビルマ人共同実行委員会」は、
SPDC(国家平和開発評議会)の不当な行為に強い憤りを感じています。2007年8月
15日、SPDCが燃料価格を200%から600%近くまで急激に値上げしたことに対し、
ビルマ国民は平和的な意思表示である抗議デモを行いました。SPDCはUSDA組織
(連邦団結発展協会、軍政の翼賛団体)を使って、8888世代のミン・コー・ナイ氏率
いる学生リーダー、NLD(国民民主連盟)の党員、市民を含む100人以上を逮捕する
など、民主的な活動を弾圧しています。
 
 また、SPDCによる行政統治は混迷を深めております。2005年度のビルマの国家
予算では、軍事費国家収入の5割近くを占める一方、教育・厚生費はわずか0.7%に過ぎ
ません。2006年度予算では、天然ガス輸出による26億米ドルの収入がありながら、国
内の燃料費を値上げしています。差益の使途に関し、不明瞭な処理が懸念されます。ビ
ルマの諸問題は経済的な理由よりその根源は政治にあります。1990年5月27日の総選
挙で選出されたNLDと少数民族政党代表の92名と軍政による三者間の対話を成功させ
るため、NLDが潘基文・国連事務総長へ提案文(2007年8月1日付)を送りました。こ
の提案文は、多くの在日ビルマ人組織だけでなく、海外でビルマ民主化運動を先導して
いるNCUB(ビルマ連邦国民評議会)NCGUB(ビルマ連邦国民連合政府)、
MPU(国会議員連盟)、NLD‐LA(国民民主連盟解放地区)、UNLD‐LA(連
邦少数民族民主連盟解放地域)も支持しています。ビルマ国内でも、ミン・コー・ナイ
氏が率いる多くの学生たち、政治家グループがこの提案を支持しています。私たち在日
ビルマ人組織もこの提案文を支持し、即実行するよう求めております。

 しかし、依然として、SPDCによる民主活動への弾圧や国際社会の意見を無視し、
民主的な抗議に対する武力行使について、各国で批判が高まっています。米国、イギリ
ス、カナダ、チェコ、スウェーデン、フランス、アイルランドの各政府からSPDCを
懸念する声明文が出ています。しかし、民主国家である日本政府からは、SPDCの不
当行為に対し何の反応もなく、私たち在日ビルマ人はこれを非常に憂慮しています。
 
 2006年の国連・安全保障理事会で、日本政府はビルマ問題を正式議題とすることを
支持しましたが、今後のビルマ方針に何らかの変化が起きる可能性を大変心配しており
ます。8月20日、安倍首相はインドネシアの国会で、メコン流域各国の一つであるビル
マへの経済的支援について言及さされましたが、現在の軍独裁政権下において支援は適
切ではありません。これらの状況を鑑みて、在日ビルマ人は日本政府に下記事項を要請
いたします。

                   

1.アウン・サン・スー・チー氏と全ての政治囚及びミン・コー・ナイ氏、今回の抗議
  デモによる逮捕者の解放を日本政府から要請すること。
2.日本政府は、USDAを利用して平和的デモを弾圧するという、SPDCの不法行
  為、武力行使による逮捕に対し抗議すること。
3.ビルマの政治問題が対話によって解決されない限り、経済的支援を凍結すること。
4.人道的支援の科目で、USDAを支援しないこと。

 1990年の総選挙で選出されたNLD、少数民族の代表92名による今回の提案を国連事
務総長室が支持しております。日本政府も積極的に支持すること。国連事務総長室が提
起する案にSPDCのリーダーが従わない場合、ビルマ問題を安保理で再度議論し解決
するため、日本政府にはビルマ国民の代わりにアジアのリーダー国としてのイニシアチ
ブを発揮すること。

在日ビルマ人共同実行委員会各代表
Dr.ミン・ニョウ
タン・スエ
チョー・チョー・ソウ
タウン・ミイン・ウー
マイ・チョー・ウー