59. 詩人、井之川巨さん逝去。 05/04/10掲載  

 詩人の井之川巨さんが3月27日朝亡くなられました。井之川さんは長らく間質性肺炎を患っておられ、2月に右肺の手術もされ、退院資料中だったのですが、その後、インフルエンザにかかってお亡くなりになったようです。享年71歳でした。3月30日に、親族のみで、川崎市の 葬儀場で葬儀が行われたとのことです。
 井之川さんは、市民の意見30の会・東京に、昨年10月入会され、同時に、『ニュース』の今年2月発行の第88号には、「不戦六十年の夜に」という感動的な詩を寄せられたばかりでした。謹んでご冥福をお祈りします。
 なお、井之川さんが発行されていた『原詩人通信』の号外(この号は江原茂雄さん編集)に夜と、追悼集会が計画されているとのことです。詳細がわかり次第、この欄でご報告します。同号外に載っていた井之川さんの詩、「もしもぼくが死んだら」を転載します。

もしもぼぐが死んだら      井之川巨

もしもぼくが死んだら
お葬式は出さないでいい
お坊さんも招かないほうがいい
ごく親しい人だけに集まってもらいたい

もしもぼくが死んだら
屍の上に小さい赤い布をかぶせてほしい
ぼくのついに達成できなかった革命のために
ぼくの偽りのない心のために

もしもぼくが死んだら
戒名なんぞ付けないでほしい
親父の付けた名前のままがいい
威張ったようなこの俗名がいい

もしもぼくが死んだら
友達にうまい酒をふるまってくれ
ぼくが親しんだ泡盛なんかがいい
飲んで歌でも出ればなおいい

もしもぼくが死んだら
集まった誰かに詩を読んでもらってくれ
楽しい詩 皮肉たっぷりの詩がふさわしい
ぼくの詩も誰かに読んでもらいたい

もしもぼくが死んだら
ぼくが謝っていたと伝えてくれ
仲違いしたままのだれかれに
貸借を精算できなかっただれかれに

もしもぼくが死んだら
骨灰は海に散布してもらいたい
沖縄のサンゴ礁の沖合がいい
エメラルドグリーンのあの海へ
     
もしもぼくが死んだら
きみは自由に羽縛くべきだ
ぼくというやっかいな鎖を解き放ち
きみ自身の旅をゆっくり続けてほしい

人はいつか必ず死ぬ
うたい尽くせなかった詩は多い しかし
未完の詩はだれかがうたい継いでくれるだろう
若く貧しく名もないだれかが


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