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市内には福祉に関係するNPOが多く、今年度から運用がはじまった国の施策である支援費制度について高い関心が寄せられていました。
そこで、従来の障害者への措置制度や高齢者への「介護保険制度」と比較しながら、重症心身障害を対象にした現場から見た支援制度の実状と課題について、9月26日に『社会福祉法人マロニエ会』施設長の齊藤祐二さんに解説をしていただきました。
措置制度から支援費制度へと移行し、利用者が自らサービスを選択することが出来るようになりましたが、その自己決定以前に、利用者本意のサービスが提供される仕組みになっていけるか、お話を伺いました。
課題その1
サービス内容を決定する指標は?
現行では、ケースワーカーの裁量によって、同じ障害の程度の人でも支援費支給内容が大きく左右されてしまう。それは、介護保険のような要介護度認定の仕組みがないからだ。
以前の「措置制度」時代はサービス利用時間に上限がなかったが、支援費制度には原則として一人あたりの上限が設けられている。それ以上の支給については市町村の裁量となる。
藤沢市は様子さえわかれば上限以上の支援費を支給するという姿勢を持っているが、担当者によっての差も出るだろう。客観的な指標がないので、特に上限以上にサービスを必要とする人への適切公平な対応がなされにくいという情況だ。
★相談事業に関して
市内の相談施設は数カ所。また、その他の施設などでも支援費申請に関しての相談は受けている。
しかし、事業として予算が適正につけられない為に、限られた人材・時間で充分な対応するには厳しい情況にある。
課題その2
利用者に寄り添った支援のあり方は?
高齢者への介護保険では、ケアマネージャーが利用者の情況を把握し、客観的な指標に基づいて必要なサービスを決めていく仕組みが取り入れられている。
しかし支援費制度には、その策定にあたって自己決定を重視する声が尊重され、ケアマネジメントの仕組みは取り入れられなかった。そのために、自己決定の訓練ができていない人達や、自己決定自体が困難な人達にとって不充分な支援の仕組みになっている。本当に支援費が必要かどうかと問われた時に、「無くても良い」と言ってしまいがちな人が多いからだ。中には障害の程度からいえば受ける権利があるでサービスも、家族で無理をして対応してしまおうというケースも少なくない。
また、利用者への支援者からみて支援費支給内容に疑問を感じる場合でも、本人が不服申し立てをしない限り決定は変わらない。自己決定は重要だが、継続的に相談を行う機関が不充分だといえる。
課題その3
きちんと情報は伝わっているの?
脳血管障害になり麻痺などの身体障害を持ってしまった人には、支援費だけではなく年齢的に介護保険の受給対象となりうる場合もある。しかしその両方を受けることはできない。では、どちらのサービスを受けるのかというと、原則的に介護保険優先となる。
そしてケアマネージャーが寄り添い、高齢者向けのデイサービスを紹介される場合が多いようだ。
しかし、国の考え方としては身体障害者の特性として、社会適応訓練と創作的活動に重点を置く人は、たとえ65歳を過ぎても、身体障害者のデイサービスを受けられることになっている。ところが、現状ではケアマネージャーが高齢者福祉についての知識に比べて障害者福祉の制度をよく知らない事が多い。結果的に、比較的年齢が若く、自立に向かいたいという中途障害者が80、90歳の高齢者と同じ場所で社会参加を目指すことになり、やる気がおきず、ひきこもりになるという例もあるようだ。
同時に、影響を受けているのは身体障害者のデイサービス事業と短期入所事業だ。以前は福祉事務所を通して利用者となっていたはずの人々が減っている。
今後の動向
介護保険との一本化
平成17年の制度改正にあたり、介護保険に支援費制度が、とりこまれるのではないか。そのような動向がある。
もしそうなれば、課題は要介護認定基準の客観的な基準づくりだろう。
介護保険は、介護ということだけに着目して調査と認定を行っている。
しかし、障害者の場合、同じ障害を持つ場合でも、その人の望むライフスタイルによって欲しいサービスが大きく変わる。自宅での生活を中心にしたい人、外での活動を中心としたい人と様々なので、一律の「要介護」認定基準を設定するわけにはいかない。
その他、当日の参加者からは、30分のケア(オムツ交換など)で良いのに最低時間単位が一・五時間以上でないと受けられない(日常生活支援)、異なる内容のサービスに同じ事業者が入れない(日常生活支援と身体介護)などという問題も指摘された。
介護保険で日本人は、死に向かっての生活をある程度保障されるようになったが、支援費制度は障害者の生き方をまだ保障するに至っていない。
財源の問題も含め、支援費に関わる事業所も難しい局面に立たされている。自分たちの生存権に関わる問題として、知恵と力を寄せ合うことが必要だろう。
● 支援費制度って何? ●
身体障害者、知的障害者への福祉の施策。内容は、障害者の自宅での生活に関する支援、外出時の移動介助、日中の活動施設利用など、指定事業者のサービスを利用する費用が支給されるというもの。
利用者がそれぞれのサービスを何時間利用できるかは、利用者が自己決定に基づいて市町村に申請し、ケースワーカーがその可否を決定する仕組み。
財源は国が賄うが、支払い能力に応じて利用者も負担する。なお、精神障害者は支援費制度の対象にはなっていない。
● 財源が違うから? ●
この差があるのはなんでだろう?
支援費制度では、完全な上限こそ無いが全身性障害者へのホームヘルプに関する上限は基本的に125時間で、金額にすると約20万円。介護保険では要介護度2程度の人が支給される金額に相当する。しかし、全身性障害があり日常の生活支援が必要な場合を介護保険の基準で要介護度認定すれば4か5となり、もっと長時間のサービスを受けられる。
● 一人暮らしで自己決定が難しい人はどうするの? ●
自己決定が難しい人々に対して、成年後見人制度があるが、問題として障害者の数に比べて後見人を受けてもらえる人(司法書士等)の数が圧倒的に少ないことが挙げられる。今は制度利用者が少ないから良いが、申し込みが増えたらパンクは目に見えている。みんなの権利が全て保障されているわけではないのが現状だ。
だんだんと利用者の制度に対する意識、自立に向かっての意識が定着してきたときにどうなるのかが心配される。
※注/障害者支援費制度のホームヘルプ事業に関して、五十億円の赤字見込みという試算を厚生労働省が出している。
※注/厚労省の検討会に対し、全国市長会と全国町村会が支援費制度へのケアマネジメントの制度化や支給決定に関する基準の明確化などが必要とする意見書を提出している。(2003年11月26日)
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